5-6.体調を知るにはアッカンベー:web版

良導絡―自律神経調整法の基礎知識

第5章 体質を変える漢方療法と食事:web版


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5-6.体調を知るにはアッカンベー

◯5-6-1.体からの声を聴こう

 日々の体調をチェックするのに、いちいち病院で検査を受けていられませんよね。自分の体調を知る手がかりは、なにも病院で検査機具を使わなくてもたくさんあります。例えば、肩こり・頭痛・足のむくみ・足腰の冷え、女性なら生理の周期・期間・生理痛などは、重要な手がかりです。お肌のつややお化粧のノリでも感じられるでしょう。さらに、食欲や睡眠などももちろん体からの信号です。なにより、体調がよいときは、「体が軽い」、「体がポカポカ暖かい」、「体がやわらかい」と感じるはずです。反対に、体調が悪いときは、「体が重たい」、「体が冷たい」、「体がこわばっている」感じがすると思います。

 このような体からの声にもっと耳を傾けてみませんか?体がだるいのに、ついつい飲み会に出席した。カゼっぽいのに、仕事が忙しいので無理して出勤した。そんな後、かえって熱が出て2〜3日寝込んでしまった。そんなことはありませんか?体は一生懸命声を発しているのです。その声に耳を傾けていれば、もっと健康な日々が送れるはずです。


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◯5-6-2.舌を見てみよう

 東洋医学は古代中国で4千年ほど前に生まれたといわれています。当時は現代のX線やCT、MRIといった医療機器はありません。また、血液検査などもできません。たよりは、体表から発する体の状態(不調)を外からいかに読み取るかという技術です。この技術は現代でも立派に通用します。特に、いちいち病院へ行って検査を受けるほどではない、日々の自分の体調チェックにはまさにうってつけです。

 東洋医学では、このような診断法がいろいろ開発され、それらを組み合わせて体の状態を診断していきます。その中で、みなさんにぜひお勧めしたい体調チェック法があります。さきほど紹介した「舌診(ぜっしん)」です。そのやり方を説明しましょう。

 まず、鏡の前に立ち、アッカンベーをしてみてください。できれば、家族や友人など何人かがいるとよいです。アッカンベーといっても、指でまぶたを下に下げなくても結構です。肝腎なのは舌ベロのほうです。どうでしょう?舌ベロなんて、まじまじと見たことなんてあまりないのではないでしょうか?そして、他の人がいれば、ぜひ見比べてみてください。舌の大きさ、厚み、色、さらに舌の上を覆う苔状のものの色や厚み。どうです?結構、人によって違っていませんでしたか?

 舌を見る舌診は、東洋医学では大変重要な診断法の一つです。なぜなら、体の全身状態が舌から読み取れるからです。ただし、普通の人には難しすぎる技術というわけではありません。じっくり、自分の舌を眺めるだけです。ぜひ、この舌を見ることで体調をチェックという習慣を身につけましょう。


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◯5-6-3.舌の形

 舌の大小は体の水分が多いか少ないかによって変わります。大きくてむくんだ感じの舌は、体の水分が多いことを反映しています。さらに、舌の縁に歯形が付いていることもあります。これも、舌が大きいため、口の中でいつも内側から歯に押し当たっていることを示しています。この歯形(東洋医学では歯痕(しこん)といいます)が付くほど舌が大きいのも、体の水分が過剰にたまっていて、むくんだりしていることを示します。このような舌のときは、胃腸が弱っていることが多いのです。

 反対に小さく薄い舌は体の水分が少ないことを示しています。体の水分が少ないと、体が乾燥気味になったり、のぼせ気味になったりします。


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◯5-6-4.舌の色

 舌の色は下を通っている血液の色です。ですので、貧血気味(血虚(けっきょ))の人は舌の色も淡くなります。また、血行が悪い(瘀血(おけつ)と、舌の色も暗い紅色になります。さらに、暗い斑点(瘀血斑(おけつはん))が出る人もいます。また、舌の裏を見せてもらうと、舌下静脈が見えるのですが、血行が悪いと暗くて太く怒張した血管がうねるように走っているのが見えることもあります。


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◯5-6-5.舌の上の苔

 舌の上には苔(舌苔(ぜったい)といいます)が付いています。健康な舌では、白くて薄い苔で、苔をとおして下の舌が透けて見えます。この苔も水分代謝や病気の度合い、体の冷えや熱があるかどうかを表しています。水分代謝が悪くて体の水分が過剰になると、苔も厚くなります。逆に苔のほとんどない人は水分が少ないことを示しています。さらに所々苔が剥げている舌もあります。これは、胃腸の疲れを表しています。

 苔の色も体調によって変化します。体が冷えていると、苔の色は白くなります。逆に体の中に熱がこもってくると、苔の色が白色から黄色、茶色と濃くなっていきます。さらに、病気の進行度にも色は関係しています。病気が軽い初期の時は、色は正常と同じ白色ですが、病気が進行していって重症になるにつれて色も濃くなっていきます。

 例えば、お酒を飲んだ翌朝はふだんより苔が厚くなり、黄色くなっていることが多いです。これは、お酒という水分を多くとったこと、アルコールが体の中で熱に変わったことを舌が示しているのです。


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◯5-6-6.健康的な舌は健康の証し

 どうでしょう?舌にもいろいろあることがおわかりかと思います。ところで、じゃあ健康な舌ってどんな舌?と思うかたもいるかもしれません。こんな舌です、となかなかお示しできないのですが、例えば赤ちゃんから幼児の頃の子供の舌がそうでしょうか。色は健康的なピンク色でつやつやして、大きすぎも小さすぎもしない。薄く白い苔が舌の上全体に覆っていて、苔をとおして下の舌が透けて見える。こんな舌が健康な状態の目安でしょうか。


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◯5-6-7.爪も見てみよう

 爪も体の状態を表す指標となります。爪から透けて見えるピンク色は、指先をながれる血液の色です。そのため舌と同じく、血の不足気味の人は爪の色が白っぽくなります。

 また、爪自体も体の状態によって変化します。栄養状態が悪いと(血が不足気味)、薄くなって割れやすくなります。また、爪は肝(かん)に関係するので、肝臓が疲れていたり、ストレスが多いとスジが入ったり、表面がでこぼこになったりします。


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◯5-6-8.唇も見てみよう

 唇も体の状態をよく表します。よく、冷たいプールで泳いでいると唇が青紫色になるのを経験した方も多いと思います。これなどまさに、体が冷えて血のめぐりが一時的に悪くなった瘀血状態になったことを表しています。そして、血の不足気味の方は色が薄くなります。


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◯5-6-9.魅力的な唇、爪は健康の証し

 こうして見てくると、唇、爪など女性がお化粧する場所は、往々にして血管が集まって皮膚から透けて見える場所のようです。そして、他人からもその人の健康状態が分かりやすい場所だといえます。逆に言えば、唇や爪が若々しくピンク色をしていれば、健康的で魅力的に見えるポイントだということを昔から経験的に感じていたのでしょう。

 唯一、舌はお化粧できないので、診察には都合がよい場所です。さらに、大きさが決まっていないので、水分状態を見やすい場所です。そのため、東洋医学では舌診が大変重視されています。もちろん、このような体のあちこちからの情報は矛盾していることもあり、それらを総合的に考え合わせなければいけないことはいうまでもありません。

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